[台風19号]小屋暮らしのリアル…その①

家に「電気」「ガス」「水道」が通っていないというと、文明社会から切り離された生活を想像してしまいがちですが、少なくとも我が家はそんなこともなく、インターネットも普通に使っています。

そのため今回の台風の情報も入ってはいたのですが、東京に住む兄から、「今から避難してくる?」という電話が金曜日に来て初めて、『ちょっとヤバいのかな…?』という気がして来ました。

 

最近薪ストーブと煙突を取り替えたのですが、その煙突が強風で飛ばされてしまわないように、ワイヤーで補強しました。

 

今回吹き飛ばされる小屋があるとすれば、数時間で作ってしまったこの物置小屋だと思います。

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吹き飛ばされたら困るものといえば、僕だったら「屋根」と答えます。

台風に対する弱点がこの「屋根」だとすれば、我が家には「弱点」がとてもたくさんあることに気が付きました。

先ずは僕が寝起きをする小屋の屋根(ガルバリウム鋼板)、この小屋から東西南北にそれぞれ垂れ下がるように伸びる屋根(タープだったりガルバリウム鋼板だったりアスファルトシングル)、風呂トイレ小屋の屋根(ガルバリウム鋼板)、物置小屋の屋根(ガルバリウム鋼板とポリカ波板の混合)、薪棚の屋根×2(ガルバリウム鋼板、オンデュリン)、工具棚の屋根(ガルバリウム鋼板)、離れの物置の屋根(ガルバリウム鋼板)

 

小さく暮らすことは、ストレスを小さくすることだと信じていますが、振り返ればたくさんのものを作ってきました…。

 

金曜日の夜。

生暖かい空気と小雨のぱらつくなか、買い物に出かけました。

本当はもっと早い時間に行きたかったのですが、台風の対策をしたり、そもそも起きた時間が遅かったので、気が付くと辺りは暗くなっていたのでした…。

 

帰りに寄ったスーパーの陳列棚は、「311」を彷彿とさせるものがありました。

関連記事:3.11/東日本大震災の記憶|東京でサラリーマンだった僕が帰宅困難者になった話

 

インスタントコーナーですらスカスカです。

※「東京」「浅草」と書かれた焼きそばだけがたくさん残っていました。親近感のある土地の名前が書かれていたので、なんだか悲しかったです。

 

遅くなってしまったので、お弁当など適当なものを買って帰りたかったのですが、仕方がないのでこの日も自炊をしました。




・台風当日※10/12

 

前の日の夜から降り出した雨は、朝起きても衰えること無く降り続いていました。

屋根を叩く雨音がうるさくて眠れなかったし、雨水タンク(500L×2、約200L×1)はとっくに満水なので、これ以上の雨は只々迷惑なだけです。

 

僕は台風の進路が心配になり、朝起きて直ぐにモバイルルーターの電源を入れました。

この時期の昼間であれば、ソーラーパネルである程度の電力を得ることができるので、スマホやモバイルルーターなどは比較的不自由なく使うことが出来ます。

そしてこの昼間に、母屋とは別にもう一枚設置してあるソーラーパネルで、パソコンとモバイルバッテリーの充電をしておきました。

ちなみにこれは、台風に備えてのことではなくただの日課です。

台風のローカルな情報を得ようとツイッターを開くと、良さそうなアプリが紹介されていました。

 

さっそく使ってみました。

今回の台風の大きさが可視化され、より恐怖心が肥大化したような気がしました。

 

「Yahoo!防災速報」というアプリを入れた昔のiPhoneにだけ、災害情報が通知されます。

「警戒レベル4 全員避難」

直ぐ近くの地名が対象地域に入っていたので驚きました。

 

風はそれほどでもありませんでしたが、激しい雨が延々と降り続いていました。

先日替えておいた雨水タンクのフィルターがもう目詰まりしているし、オーバーフローした水が小屋の下に流れ込んだりしていました。

 

流石に不安になってきました。

不安を紛らわすために、満充電となったノートパソコンで「M-1(2018)」を見ていたのですが、屋根の上で大きな音がしたので飛び上がってしまいました。

我が家の頭上には、何本もの赤松の大木が茂っているので、強風が吹くと枝や松ぼっくりが落ちて来て大変なことになるのです…。

 

いよいよ命の危険を感じるくらいの強風が吹き荒れるようになってきました。

 

僕は来る夜に向け、一旦パソコンを閉じました。

日没までに再度ソーラーパネルでパソコンを充電しておこうと思ったのです。

 

我が家は「北杜市」という場所にあるのですが、「大雨」のフォントが紫色をしていました。

まだ赤色には至っていないのかと他の都市と比べることで少し安心をしていたのですが、、

 

どうやらヤバいのは「紫>赤>黄」の順番だそうです…。

 

不安を紛らわす為にベッドの上で布団を被ったりもしたのですが、ベッドはロフトの上で屋根が近い為、ちょっと大きめの枝が落ちてくるだけでビクッとなります。

凄まじい通り風の音がするたびに身体が硬直し、勢いよく玄関扉や窓が開いたり、『これは見に行かないとヤバいやつかも…?』と思ってしまうくらいの衝撃音がしたり、地震と見紛うくらい、強風で小屋が揺れたりしました。

 

地域のスピーカー放送やインターネットの注意喚起などをみていると、『避難したほうがいいのかな?』と思うのですが、町内会費を払うどころか、普段近所付き合いすらしていないし、どこの誰かと聞かれるのも面倒だし、そもそも車に乗って避難所まで行く道中の方が危険なのではないのかと考えたりしながら、小屋の中をそわそわとしていました。

なんといっても我が家には猫が4匹もいるので、誰かが大怪我をしただとか、目に見える大損壊などが無い限り、避難することはないと思います。

 

日本において、特別扱いは嫌われる傾向にあると思います。

生活保護より自殺を選ぶ人が多いのも、そんな国民性にあるのだと思いますが、こんなときになっても、『誰かに煩わしいと思われたくない』という気持ちから、僕は(見栄の為に)小屋と心中した方がマシだと考えていました。

 

心配して電話をくれた兄に、「死んだら笑ってね!」と強がったのですが、いざ本番を迎えてみると早々に決意も萎んでしまい、己の矮小さに恥ずかしくなるほどでした。

ちなみに極限状態に近いときは、

 

『ここまで生き残って来たんだから、こんなところで死ぬ訳ないよね!?』

 

頭の中は随分とスピリチュアルな思考をしていました。

 

辺りでは聞いたことのない音がひっきりなしに鳴り響いています。

聞き耳を立て、何が飛ばされた音なのかと想像力を働かせていました。

枝が落ちてきた音、バケツが飛んだ音、、

 

『あれ、、今屋根飛んだ…!?』

 

小屋暮らし6年目、初年度の大雪に並ぶ大災害に直面しています…。

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つづく…。



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