僕なんかよりも何年も前から働いている、掃除担当のお婆さんが言いました。
「今日は10年来の忙しさだわ!」
今日のチェックイン待ちの車は、飛び地になっている従業員専用の駐車場まで渋滞を作っていました。入ってくる車と、出ていきたい車が行き交うことが出来ず、昼休憩に入ることが出来ないまま交通整理をしていた僕としては現実逃避をしたくなるような忙しさでした。
おびただしいゴミだけでなく、場内の汚れ具合も桁違いでした。
野外でBBQをしたいという人の為のセッティングや電気の手配が終わらないうちから、どんどんと入れ替わりで新規のお客さんが入って来ます。
近所には源泉宿があり、これまではうちのお客さんも温泉だけ利用させてもらっていたのですが、今回のGWだけは初のNGが出ました。
あまりに温泉目当てのお客さんが来るので、旅館に泊まっているお客さんが利用出来なくなるというのです。
職場である宿泊施設の周りには、源泉宿の他にも釣り堀や乗馬クラブ、キャンプ場などもありますが、どの観光施設もこの時期は大忙しです。
僕は午前10時の段階で既に心が折れかけていて、念仏のように、「来年は絶対働かない、来年は絶対働かない、来年は絶対働かない・・・」と繰り返していました。
受付にいるオーナーの涼しい顔が憎らしく見えてくる瞬間でもあります。
しかし、そう思ってしまうのは、「雇い主と従業員の関係」であることを忘れかけていたということなのかもしれません。
主従関係がハッキリとしている関係性を楽だと感じる人も多いようですが、やっぱり僕は苦手です。
とはいえ、自分が雇い主になりたいとも思いません。従業員に気を遣うことを考えると、それはそれで面倒くさそうです。
今日はいつもの仕事量が倍増したような忙しさだったのですが、そんな中でも子供たちとのやり取りを蔑ろにするわけにはいきません。
子供たちは口々に「手伝う」というのですが、指示を出して何かをやってもらっても、その仕事ぶりを確認しなくてはならないし、そもそもお客さんの子供なので、変なことをやらせる訳にはいきません。
ハッキリいってしまうと、「足手まとい」なのです。
ですが一肌脱ごうとしている子供たちのことを邪険には出来ません。
きっとこのような状況のことを「八方塞がり」というのだと思います。
今日は至る所に、積み重ねた石や松ぼっくりの山がありました。
見つけては掃除をするのですが、とても全部を見つけて処理出来たとは思えません。これはなんだろうかと不思議に思っていましたが、直ぐに犯人は見つかりました。
何人か目星を付けていた問題児が、なんと徒党を組んで悪さをしていたのです。
相手は子供なので、「悪さしちゃ駄目だよー」などと言えば、手に持っていた大きな石は下に置くし、足蹴にしていた木からは離れていきます。
しかし僕の目の届かないところでまた同じことを繰り返すのです。
連合軍のリーダー格は女の子でした。
その子は一昨日のワークショップに来てくれたお客さんでもあったので、あまり怒ることも出来ず、苦労しました。
困ったお客さんは子供だけではありませんでした。
チェックアウトの時間を守らなかったり、ゴミの分別をしてくれなかったり、何かとワガママを言う大人がいたのですが、なんとリーダー格の女の子はそこの子供でした。
子供は親の背中をみて育つというのは本当だと思います。そう思うと、ある意味で子供は被害者なのかもしれません。
・平飼い卵:150円
・灯油(@74):740円