エンタイアってなに?あれよという間に東京の古物市場を席巻!?

[Diary:489]

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前回初めて古物市場に足を踏み入れてから、早いもので3ヶ月が経ちますが、今回は東京の古物市場に同行してきました。

僕が小屋暮らしをしている山梨県にも古物市場はあるというのに、なぜ今日は東京の古物市場なのかというと、それは市場ごとに得意のジャンルが違うからです。

前回行った山梨の市場は、古道具や家具などがメインでしたが、今回の市場は、書籍や掛け軸など、紙ものがメインの市場になります。

そんな市場に僕らが持っていったのは、やはり書籍が中心だったのですが、他にも絵画や版画、掛け軸などもありました。また、使用済みの葉書や封筒、ポストカードや旅行のパンフレットなど、一見ゴミにしか見えないようなものまでどっさりと持ってきました。

これら全ての紙ものは、僕が師匠に始めて連れて行ってもらった、山梨のとあるお屋敷から出てきたものです。

明治時代のものから大正、昭和と、兎に角たくさんの物がとても綺麗に保管されており、(師匠いわく)とても貴重な物件だったようです。

マニアにとっては垂涎のお屋敷であったため、師匠の買取金額も相当のものになっています。そのためこの市場では、ある程度の売上をあげなくてはならないのです。

僕は将来道具屋として一人立ちしてやっていけるのかどうか、この市場での売上が占うような気がしています…。

今回はハイエース2台分もの紙ものを出品することになるので、前日から休み無く搬入と仕分け作業に掛かりきりとなりました。

重たい書籍の積み下ろし作業もさることながら、延々と続く仕分け作業が思いのほか辛く、この作業は結局、競りの最中にも続けられました。

 




開催日当日です。

会場となるのは、小さな個室が1階から3階までずらりと並ぶ、まるで社員寮のような雰囲気の建物でした。

社員寮のようだと書きましたが、それはもう何年も前の話で、現在外壁は蔦に覆われ、壁のタイルは剥げ落ち、エントランスの電源の入っていない自動販売機の上には、分厚いホコリが堆積しています。

しかし廃墟然としたこの建物も、市場が開催される一室だけには照明がたかれ、人でごった返し、明かるく活気に満ちているのでした。

非現実的な世界のような気がして、なんだか不思議な感じがします。

 

例のごとく会場内の写真を撮ることは出来ないので、中であったことを文章だけで、簡単にまとめてみようと思います。

会場では、大きな長テーブルを囲むようにして、首から番号札をぶら下げた会員たちが丸椅子に座っています。※座りきれなかった人たちは立ち見です。

その長テーブルには、次から次へとおぼんに乗せられた紙ものが回って来ます。

※このおぼんに乗せる作業を、僕らが夜遅くまで行っていたのです。僕はまだ浅い知識しかないこともあり、この仕分け作業が大変でした。

 

前日、主催者側の人たちと一緒に予想したとおり、やはり本日の一番人気は春画かと思われました。

それもそのはず、この春画だけで僕のサラリーマン時代の月収と同じくらいの値が付いたからです。

しかし古物の世界は奥が深いもので、この日一番の売上だったのは、絵画でも掛け軸でもなく、エンタイアと呼ばれるジャンルのものでした。

エンタイアとは、通称「エンタ」と呼ばれることが多いのですが、これは切手に消印の押された、使用済みの葉書や封筒のことを指します。

古いものなので、一見ゴミのようにも見えそうなものですが、知れば知るほど、エンタイアの世界は奥の深いものでした。

一例ですが、消印の押された場所や、日付、消印の形状、切手、葉書のデザインなど、変わったものや意味のあるもの、思い入れの強さなど、マニア、蒐集家と呼ばれるジャンルの人たちは、これらのことに一喜一憂するのだそうです。

説明を受けたり自分で調べてみるにつれ、気がつくと僕もこのエンタイアの世界にどっぷりと浸かってしまいそうな、そんな魅力の片鱗に触れたような気がしました。

 

この市場では、概ねお昼頃にはお開きとなることが多いのだそうですが、この日は僕らの出品数が桁違いに多かった為、終わる頃には日が傾きかけていました。

長い2日間が終わりましたが、蓋を開けてみればなんと驚きの売上高を記録していました。

もしかしたらこれは、非常に薄給な会社に勤めている人の年収くらいにはなるのかもしれません。

しかしお手伝いの僕にはあまり関係がありません。僕は只々、貴重な経験が出来たことだけで満足です。

…十分満足なんだと自分に言い聞かせていたところ、なんと師匠から、「たくさん売れた日は配当があるよ」と、思わず顔が緩んでしまうくらいのお駄賃をいただくことが出来ました。

※なんとか健康保険と車の任意保険の支払いが出来そうなので、ほっとしました…。

 

お金を貯めて古物の免許と荷物の運搬が出来る車を手に入れ、いつかは一人立ち出来るように頑張りたいと改めて思うことが出来た二日間でした。

非常に疲れましたが、最高に面白かったです。

 

おしまい。



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