妄想レストラン

面白い作品を見聞きしたり変わった記事を読んだりすると妄想が捗ります。

そこで今日は妄想上のレストランをOPENしたいと思います。

リアルな妄想は、いつの日か現実になるかもしれません。

そのレストランはとある地方都市の深い森の中にありました。

それはまるで隠れ家のようであり、なんだかセンスのある佇まいをしています。

 

献立はその日の仕入れによって変わります。

ただ、店主は自分が食べられないものは作りたくないといって、動物肉は使いませんでした。

 

席数はそれほど多くはありません。

テーブル席もカウンター席もありますが、基本的には一人で座ってもらいます。

誰かと一緒に訪れたとしても、敢えて席は離れて座ってもらうのです。

これは一人でも気兼ねなく入店できるお店にしたいという考えからだと、入店時に渡されるルールブックに書いてあります。

そのルールブックには、店主がこのお店をOPENした切っ掛けのエピソードが少しだけ書かれています。

 

元々旅人だったという店主は一人で旅をすることが好きでした。

一人旅は辛いことも多いですが、たくさんのことを思う存分考えていられるからと、一人の時間をとても気に入っていました。しかしどうしても好きになれない時間というものがありました。

それは食事の時間でした。

地元の人や自分とは違う国の人ばかりのお店であればなんの気兼ねもなく入れましたが、日本人グループがいるようなお店には何だか近寄りたくないと思うことが多かったのです。

一人でご飯を食べていることがカッコ悪いとか、情けないような気持ちにさせられたし、彼らがワイワイと楽しそうに食事をとっているそばで食べるご飯はまるで美味しくなかったと書いてあります。

「日本人ですか?一緒に食べましょう」なんて声を掛けられた時は、嫌な気持ちに拍車が掛かったとも書いてありますから、店主は変わり者なのかもしれません。

店主は帰国してからも自分が経験した不快感の原因を突き止めようと考えました。

お店の雰囲気に存分に浸りたいとか、単純に注文した食事に集中したいという気持があったのかもしれないと思いつき、そんなレストランを開こうと一念発起します。

 

「僕のレストランは、一人で食べること、そして一切しゃべってはならないというルールにしよう。」

 

ただ、自分のための思い出に写真を撮ることはokにしました。

これはSNSなどでお店の紹介をしてもらいたいという店主の魂胆です。

世の中にはきっとこのお店のコンセプトに共感する人がいるはずだと店主は確信しているのです。

 

あとこのお店にはもう一つ、変わったルールを設けました。

それは、「食べ残しは全て持ち帰って貰う」というルールです。

 

お客さんは自前の容器を持参して、ご飯を食べに行くのです。

持ち帰り用の容器を持ってこなかった人の為に、オリジナルロゴの入った「当店自慢のタッパー」を少し割高ですが、店頭で販売します。

お金を払って食べに来てもらうのに、お客さんには大分不利なルールが多いように感じますが、それでも食べたくなるくらい特別に美味しい料理が出されるという触れ込みを信じてお客さんは訪れます。

そもそもこのルールが嫌な人は他で幾らでも食べることが出来るのだから、地域に一つくらい、こんなレストランがあっても面白いのかもしれないと、料理の味に満足したお客さんはそう思います。

 

[お店のホームページより抜粋]

・当店ではみなさまに不利なルールを設ける代わりに、地域で最も廃棄の少ないお店としての地位を確立してみせると約束します。

・ランチタイムは少しだけポップな音楽を、ディナータイムには暖炉と家具のような音楽を提供します。

・日替わりスイーツをお持ち帰りの際はラッピングも承ります。

 

どうぞ”一人”でおいでくださいませ…。

 

[当店自慢のロゴ入りタッパー:(小)380円 (中)580円(大)750円]

 

妄想終わり。

このような自分勝手なレストランをOPEN出来るとしたら、それはそこまで利益の追求をしなくてもよい、小屋暮らしのような店主でなくては難しいのかもしれませんね。

しかしそんなお店が近所に出来たら間違いなく僕は店主とお話したいと思ってしまうでしょう。

テーブルに自由帳を置くというのはどうだろうか?次に行った時には店主からの返事が書かれているという設定にすると、更にビジネスライクな店主のキャラが引き立って面白いかもしれない。

 

おしまい。

 

【図書館】
【LED照明点灯時間:∞】