[Diary:488]
前々回:[道具屋]01_師匠も興奮する東京の大邸宅でトラブル発生!?
前回:[道具屋]02_師匠も興奮する東京の大邸宅でトラブル発生!?
東京の大邸宅で買い取りをした話も、これで最後です。
前回は師匠も気合が入っていたのか、僕が到着した時には出発の準備が整っていたのですが、3日目にはいつも通りの、時間にルーズな師匠に戻っていました。
橙の散歩は、時間稼ぎの口実です。
前回書いたとおり、目ぼしい物は坊主頭の男に持っていかれてしまいました。とはいえ、まだまだ細々としたものは残されています。
細々というのは、価値のある骨董品以外の、例えばフリーマーケットで売るような日用品、古道具のことです。
ちなみに僕はまだ目利きが出来ないので、専門はもっぱら細々としたものたちです。
師匠の目当ては、金庫に収蔵されていた書籍です。
前回持ち出せたのはごく一部だけだったので、今回は取りこぼしを運ぼうと思っていたのですが、解体屋さんの仕事の方が早かったようで、金庫内の書籍は全て処分された後でした。
仕方ないので師匠も、古いオープンリールのテープレコーダーやプリメインアンプ、椅子やレコードなど、細々としたものに意識を切り替えたようでした。
ちなみにこれが2日目の成果です。
※後ろには解体屋さんのトラックが、前方には坊主頭の男の車が停まっているなか、このハイエースを壁すれすれに寄せたのは僕です。※緊張しましたが、うまくいったと思ったので写真を撮りました。
3日目ともなると持ってこられそうなものが少なくなるので、僕は金庫内にある所蔵棚の硝子窓をせっせと外すことにしました。
今回のように、僕が持ってこなければ産廃となる運命の建具は、それこそ運び出せないくらいたくさんあります。
頑張ればそんな物だけでも小屋が一軒建てられるような気がします。
[おまけ]
例えばトイレの窓一つとっても、小さなこだわりを垣間見ることが出来ます。
小さなこだわりはお金持ちだけの特権ではないと思うので、僕も見習いたいと思います。
上品なお香を見つけました。
僕はまだ香炉を持っていないので、適当な灰の上にのせて使っています。
1975年製のワインふた箱は失いましたが、キッチンに残されていた、2000年前後のワインを数本発見しました。
1996年製のワインのコルクは、このように黒くなっていましたが、黒くなっているのは上の数ミリだけで、コルクの大部分は綺麗なままでした。
しかし残念なことに、コルクを抜こうと栓抜きを押し当てたところ、スルッとコルクがワインの中に落ちてしまいました…。
気を取り直して次は2000年製のワインを開けてみました。
コルク、ワインの香りともに問題はなさそうでしたが、問題は味です。
いざ飲んでみますと、、最初の印象は『酸っぱい!?』だったのですが、これは「CHABLIS」という白ワインで、酸味の強いワインでもあります。
保存状態が悪くて酸味が増したのか、これが本来の味なのか、僕のような者にはその判断が付きませんでした。
※飲み進めていくうちに、不思議と酸味にも慣れてきました。最終的には美味しいような気がしてきました。
ワインラベルにはホテルオークラと書かれていますが、インターネットではこのワインについての情報を見つけることが出来ませんでした。
少なくなってしまいましたが、僕が必死になって探し集めたワインたちです。
中にはラベルの剥がされたものもありますが、深くは考えず、美味しく飲んでしまう予定です。
この日の夜は、譲っていただいた高級炭を使って鮭を焼いてみました。
人間は味覚意外にも、知識や環境によっても食べ物の味を判定する生き物です。
アラスカ産の安価な鮭ですが、高級炭で焼いたおかげか、絶妙な焼き加減でとても美味しく感じました。
価値の有りそうなものをあらかた持っていかれた師匠は気の毒でしたが、僕としては良い勉強になったし、ワインや鮭が美味しかったので、今回の買い取りには大満足でした。
[次回予告]
買い取りばかりではお金は減っていく一方です。
そこで次回は、収集したものを東京の市場に持っていきます。
そこでは、目を疑うような金額が乱舞する、非現実的な世界が広がっていました…。
おしまい。