「pi pi pi pi pi pi p…」
(僕の眠った時間からすると)早朝、規則正しい電子音が小屋の中で鳴り響いています。
床についてから2、3時間しか経っていないというのに、チクチクと刺すような不快な電子音の発生源を突き止めるために僕は寝ぼけた頭のままロフトを降りることになりました。
何ヶ月も触っていないのだから、音の発生源が目覚まし時計でないことは分かっています。
iPhone?携帯電話?
目覚まし時計のアラームのような電子音を発しそうな機器を思い浮かべますが、iPhoneは常にマナーモードだし、携帯電話に関してはもう数カ月も前から充電もせず、車の中に放置したままでした。
花粉による鼻詰まりを乗り越えやっと眠りについたというのに、この仕打は相当に酷いといえます。
「あ゛ー」とか「お゛ぉー」とか自然と奇声が漏れ出します。
ロフトを降りて辺りを伺うと、どうやら電子音はロフトの真下のキッチンから聞こてくることが分かりました。
探し物が直ぐに見つかるというのは、タイニーハウスの利点の一つと言えそうです。
発生源は直ぐに見つかりました。
目覚まし時計のような不快な電子音を発していたのは、なんと「キッチンタイマー」でした。
これはノーマークでした。
どうやらこの「キッチンタイマー」は、電池切れが近付くと電子音を発生させるという、時間帯によってはちょっとしたテロ行為のような機能が搭載されていたのです。
この機能は便利に違いないと搭載した開発者はきっと○○○○なのでしょう。
起伏の少ないさざなみのようにつまらない毎日にも刺激を与えてくれるのです。
もしこのキッチンタイマーの電池交換をするとすれば、数ヶ月か、長くても数年すれば確実にまた同じことが起こります。
想像力を働かせれば、これはまるで不発弾の上で暮らすかのようなスリリングな日々をプレゼントされるようなものです。
そう考えれば、僕がこの商品のAmazonリンクを貼っても何ら問題はないでしょう。
とはいえ僕はそんな“スリル”を求めてはいないので、
「やってくれたな…」
という気持ちを込め、少し荒々しくキッチンタイマーからボタン電池を取り出しました。
・
不快な電子音を止めて一呼吸つくと、喉が異常に乾いていることに気が付きました。
これも花粉のせいなのでしょうか?
立て続けに3杯もの水を飲んでから再度、床につきました。
・
僕は当然のように眠れなくなってしまい、枕元に置いてあったニンテンドーDSの電源を入れました。
継続は力です。
何ヶ月掛けようが、少しずつでも進めていればゲームというものは必ず大団円を迎えるように設計されています。
セーブデータに記録された経過時間は24時間を越えようとしていました。
慢性的な時間不足に悩んでいる人からしてみれば、生産性のないゲームに丸一日を費やす行為は愚の骨頂でしょう。
ですが、僕が胸を張って自慢できることがあるとすれば、それは圧倒的な自由時間の多さだと思います。
ゲームに丸一日を費やせるという生活を幸せだということも出来るでしょう。
こんなことを言っては怒られるかもしれませんが、僕は非生産的なこと、つまりは無駄と思われるようなことの中にこそ、芸術性は宿ると思っています。
ちょっと周囲を見渡してみれば分かるように、芸術性があるとされるものたちは、驚くほどの無駄が詰まっています。
このように考え、僕は今日もニンテンドーDSをやるという行為を正当化しようとしましたが、残念ながらニンテンドーDSの電源を入れた途端、強烈な睡魔に襲われてしまいました。また明日、頑張ってゲームを進めたいと思います。
それでは皆様、おやすみなさい。222…
・昼:242円
・食材:600円
・猫:630円
・目薬、マスク、ボタン電池など:1120円【購入者:アメリカ人×2】
【図書館】
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