森のテロルは若干22歳|子ども達に嘘のお別れを…。

数年前から懐かれているYちゃんや、僕と同じ名前の男の子、その他名前の知らない子どもたちが2、3人、僕の後を付いてまわり、彼らからは得体の知れないおもちゃを自慢されたり、捕まえたミクロのバッタを見せつけられたり、ターザンロープにぶら下がるまでの間、綱が動かないように押さえておいて欲しいと頼まれたりと、実務以外のところで疲れ果ててしまいました。

親御さんたちはなかなか見つからず、やっと出てきたかと思うと、昼間から手にはビールが握られていたなんてことも珍しくありません。

子どもたちの相手を代わってくれるものだと期待し、親御さんたちの方に目をやるのですが、彼らは一定の距離を保ち、顔をほころばせているばかりなのです。

子供を園内で遊ばせておく限りは、気持ち的にはここが託児所のように錯覚してしまうのかもしれません。

 

去年までは17:00で仕事を終えると、「また明日ねー」と子どもたちに別れを告げることが出来たのですが、今年は宿泊施設以外の仕事を入れ始めているので、彼らがチェックアウトする日に立ち会えないことが多くなりました。

「明日はお休みだからここでお別れだね。次はまた来年かな?」

そんなことをいうと彼らは、「えー、なんでー」とダダをこねてくれるのですが、最後はハイタッチをしたり、抱きついてきた者を両手で持ち上げたりしていると、そのうちに別れを受け入れてくれるのでした。

「また来年かな?」

思わずそんなことを言ってしまいましたが、僕はここのアルバイトを後数日で辞めるので、きっと彼らとは今生の別れとなるのだと思います。

今にして思うと、小学校に入る前の子供から、高校3年生になる子供?まで、様々なお客さんの子どもたちが、「仕事を手伝いたい」と言って、僕の後を付いてまわりました。

正直面倒だと思ったこともあったし、「迷惑を掛けちゃ駄目よー」などと言いつつ、全く子供を引き取ろうとしない親御さんに対して腹がたったこともありましたが、僕にとっては非常に貴重な経験が出来たのだと思います。

そもそも子どもに懐かれるという経験自体が初めてだったので、最初の頃はとても戸惑いました。

しかし、ゲームやマンガ、最近ではYouTuberの話題になったりすると、案外勉強になることもあるし、年齢当てクイズで、「22歳?」なんていわれると、思わず「正解!」と言うなど、僕もいつしか楽しんでいたのだと思います。



僕にも同じような経験があるので分かりますが、恐らく彼らは数年もすると僕のことなど忘れてしまいます。

しかし僕はいつまでも良い思い出として、記憶し続けるのだと思います。

お金の面でも肉体的にも、決して楽ではなかったこのアルバイトですが、僕の内面では、確実に何かが変わりました。

根拠はないのですが、この変化は、きっと今後の僕の助けになるような気がします。

 

おまけ

午後はチェックインのお客さんを、この位置で待ち構えています。

 

拘束された状態で暇になると、普段では見向きもしないことに興味が沸いてきます。

今日は地面の石ころの観察をしていたのですが、一つ、まるで強烈な炭酸水に石を漬けたら出来上がるような、穴だらけの石を発見しました。

持ってみると非常に軽かったので、なるほどこれが軽石と呼ばれるものに違いないと思いました。

※注意:違うかもしれません。

 

17:00。

職場のお風呂を借りてから帰宅しました。

 

おしまい。



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