まずは僕のコップ遍歴から書かせてください。
左:8cm(124g)
右:10.5cm(136g)
ワインやウイスキー、お茶やコーヒー用など、飲む物に合わせて買ったものは別として、普段使いのコップは、インドで買ってきたものを永らく使ってきました。
真っ透明ではなかったり、歪みや不純物の混入など、当時(二十代前半)の僕には目新しくて、それぞれ3個ずつくらいは買ってきたのですが、今残っているのはこの2つだけとなってしまいました。
※インドではチャイカップとして定番なので、その気になれば購入は容易です。
8.5cm(126g)
続いてはこちらのショットグラス?です。
チャイカップと比べると圧倒的に透明です。
残り僅かとなってしまったチャイカップの代わりとして購入しました。
近所の骨董市で6個セット300円くらいでした。
左:9cm(105g)
右:9cm(113g)
そしてこれが、今回のテーマとなる「アンカーコップ」です。
これは先日の骨董市で見つけてきました。
この他に買った灯明皿2枚と合わせて800円だったので、実質タダで貰ったようなものだと思います。
インドのチャイカップと親しいフォルムに加え、濁りや歪みやガラスの薄さなど、更にチープ感の増したコップだったので飛び付きましたが、裏面をみて『あれっ?』と思いました。
「SGF」とありますが、これとよく似たロゴのコップを持っていたような気がしたのです。
これは取り壊し前の古民家から買い取って来たものなのですが、このコップの裏面にも、似たようなマークがあったのです。
まったく同じマークだと思っていましたが、こちらは「SGK」とありました。
「SGF」と「SGK」
これはなんのマークだろうと調べてみて分かったのが、「東洋佐々木ガラス」の旧社名である、「島田硝子製造所」で作られたコップであること、そしてこのコップには、「アンカーコップ」という名前があることも、この時に知りました。
そして更に調べていくと、、
“昭和13年(1938年)
食料品缶詰代用の容器としてガラス製アンカーコップの製造を開始。
当時生産統制下で不足していたブリキの代用として大量に使用される。”
な、なんとこのコップは、当時「保存容器」として使われていたというのです…。
※著作権の関係で、画像検索の結果までしか掲載出来ませんが、調べてみると確かに、「クジラの大和煮」だったり、「福神漬け」「ジャム」のラベルが付いたままのものまで見つかりました。
コップに使われるガラスはリサイクルされたものなので、個体によっては青みがかっていたり、ちょっと茶色っぽかったりするものもあるそうです。
どうでしょうか、、知識を入れた途端、なんだか良い物のように見えてきませんでしょうか。
「缶詰の代用品」としてみてみると、コップのフチについた傷でさえ、まだ見ぬ「蓋」の存在を想像させてくれました。
人には少なからず蒐集癖のようなものが先天的にあるのだと思います。
知識や希少性、状況によって、物の価値は一変することがあります。
これは人間独特のものだと思うと、なんだか面白いなと思いました。
おしまい。