パソコン先生「Aフレームの罠」

近所に巨大なAフレームの別荘が建っていたのですが、昨日くらいから重機が入り、取り壊しが始まりました。

とても目立つ外観で、中に入って天井を見上げてみたいと思うくらい背の高い建物だったのですが、これまでに人の気配を感じたことがなかったので、もうずっと前から訪れる人がいなくなった別荘だったのだと思います。

取り壊すための重機は、アタッチメントにカニの爪みたいなものを装着した大型のユンボでした。

壁も天井もお構いなしに「バリバリと挟んでは引っ張る」を繰り返し、気がつけば2日間くらいで殆ど取り壊し作業は終わってしまいました。

僕は昨日も今日も側を通る度に少しだけ車を停めて眺めていました。

外見の珍しい建物だったのでなくなるのは淋しいし、僕が特に必要としている床材、屋根材が、時間節約の為にバリバリとカニの爪で挟まれ、砕かれていく姿を見ていると、やはり複雑な気持ちになります。

ただ、建材のリサイクルが出来るように解体するとしたら、取り壊しまでには何倍もの時間が掛かり、その分職人さんを拘束することになってしまいます。

つまりここで僕が、「建材が欲しいのですが…」などと近寄っていったところで、その分の費用は誰が払うの?ということになります。

なので、お願いする時は本当にダメ元で行かなくてはなりません。

この現場では、全ての材をバキバキと壊しながら、小さくした材をトラックに乗せ、産廃業者へピストン輸送のように運ぶというスタイルだったので、作業中は近寄ることが出来そうにありません。

昼休みを邪魔するのは悪いとは思ったのですが、恐らく現場監督の人がフラフラと暇そうだったので声を掛けてみました。

 

建材はどれもバキバキだったので使えませんが、Aフレーム小屋の玄関口に取り付けてあった鉄製の階段が気になりました。

僕の小屋に接続出来たら、屋根まで簡単に登れそうな大きさです。

これまでの現場と同様に、この現場でも全てのものは捨てるだけだというので、鉄製の階段をあげるのは構わないと言ってくれました。

ただ、鉄製の階段は近くで見てみると思っていたよりも巨大だったので、とてもジムニーのキャリアには乗せられないことが分かりました。

現場は家からは1kmもないので、頑張れば引きずって行けるだろうか、そんなことを考えていましたが、どうやら階段の根元は大量のコンクリートで固められているようで、現場監督曰く、1トンくらいのコンクリートがくっついているらしいです。

コンクリートが付いている状態ではとても運べないし、トラックをレンタルしてきても、とても車から降ろすことが出来ないと言われました。

そして現場監督は言いました。

「2万でどう?」

うーん…。

確かに僕にはこの階段を運ぶ手段がないので、誰かの手を煩わせることになります。

これは当然その分の費用を請求されるのは分かりますが、ちょっと2万円は払えませんでした。

ただ、今回のこの階段が2万円で手に入ると考えると、これはやはりラッキーだと思いました。

しかし、今の僕には運ぶ手段もお金もありません。悔やしいですが諦めるしかありませんでした。

 

その後、現場監督からは「何処に住んでいるのか?」「名前は?」「土地は幾らで買った?」などと質問攻めにあってしまいました。

そして、「君は移住してきて何年になるのだ?」と聞かれたので、「3年ちょっとです」と答えると、「建材が欲しいなら先ずは自分が損をして、人脈を築かなくてはダメなんだ、都会から来た連中はそこのところが分かってない!」と説教が始まってしまいました。

有り難いお話を聞かせていただき有り難いという顔をしながら聞き流していると、次は、「仕事は何をしている?」と聞かれたので、「インターネットで小売業をしています」と言ったところ、「パソコンを教えてくれ!」と、少し食い気味で言われました。

なんだこの展開は…と思いながらも渡された名刺を胸ポケットにしまい、現場の親方が好きなだけ持っていっていいよというので、角材を2本だけ積んでから帰りました。

 

さて、どうしたものか…

これも出会いだと思ってパソコンを教えに行った方が良いのだろうか?

僕の人見知りが大変なことになっていることをあのオジさんは分かっているのだろうか…。

 

おしまい。







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