[Diary:590]
最近は買い取りの仕事がなかったので、師匠からの電話は久しぶりでした。
しかし今日は買い取りではなく、師匠の家の片付けのお手伝いとのことでした。
僕の師匠は、家を3つ持っています。
一つがギャラリーとアトリエのある別荘のようなところで、もう一つが、現在住居としている古いお蔵付きの古民家で、もう一つが、今回行くことになる、東京のアパートです。
アパートといっても、6部屋ある全てを一手に借りあげているので、そのアパート全てが、倉庫のようになっているのです。
師匠も僕と同じ様に、東京から山梨に移住してきた人なのですが、移住後は東京のアパートを倉庫として使うこともなくなりました。しかしこのアパートには野良猫が住み着いていて、その猫たちと餌を与えにくるボランティアの人たちの為に、未だに解約することが出来ないでいる状態だったようです。
アパート自体は大分古くなっているので、ついに大家さん側から、そろそろ解体したいのだと告げられたそうなのです。
このアパートは、大分昔から借り続けているというのですが、ざっと計算してみたところ、かるく5千万円は支払ってきたことがわかったそうです。
資産家の不労所得は、本当にえげつないと思います。
僕もかつては賃貸住宅に住んでいたので大きなことは言えないのですが、借家というものは、いくら支払ったところで後に残るものはなにもありません。
そう思うと、賃貸はどうも賢い選択とは思えないのですが、かといって一軒家を買うにはまとまったお金が必要だし、ローンを組もうにも、サラリーマンでなくては審査に通らないことが多いような気がします。
貧乏人が資産家に成り上がるには、超えなくてはならないハードルがいくつもあるのだと思います。
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実は東京のアパートに向かう前に、(師匠のリクエストで、)小一時間だけ山梨の骨董市に寄って、少しだけ買い物をしました。
※骨董市で買ったものは、この日記の最後に紹介します。
休日の高速道路は案外空いていたので、あっという間に東京に入ってしまったのですが、しかし出発した時間が遅かったので、時間的にはもうお昼でした。
途中パーキングに寄って、お昼を食べていくことになりました。
ここは八王子にある、石川パーキングエリアです。
師匠はとんこつラーメンと半チャーハンのセットでしたが、僕はここでしか食べられないであろう、「石川そば」というものを注文しました。
ポップの写真とはイメージが異なりましたが、ざく切りの玉ねぎが特徴のスープはこれまでに食べたことがなかったので、良い経験をしました。
田園調布のあたりで、変わった形の雲が浮いていました。
これから向かう師匠のアパートは、もう大分古くなっていてボロボロだと釘を刺されていたのですが、なんと電気も水道も止めているらしく、アパート近くの公園でトイレを済ませておくようにと言われました。
※アパートに行くのがちょっと怖くなってきました…。
師匠のアパートはボロい上に荷物が部屋の外にまで積まれているので、もしかしたらポイ捨ての温床になっているのかもしれません。
目的地であるアパートに到着しましたが、どうも去年の台風で色々と(屋根の一部とか)飛ばされてしまったようで、その残骸が敷地内に山積みにされていました。
確かにとても人が住んでいるようには見えないアパートでした。
※師匠の沽券にかかわることなので、アパートの写真は掲載出来ません。
師匠の思惑とは裏腹に、どうやら大家さんとしては野良猫に餌を与えるボランティアの人たちのことを迷惑に思っているようでした。
僕としては、喪黒福造の著作権についての方が気になってしまいます。
どうみても人の住んでいなさそうなボロアパートの中には、松本民芸館に収蔵されているような、江戸時代の和箪笥があったり、写真にはありませんが、イギリスのアンティークの棚や、インターネットで売れば何万円にもなるようなブリキのおもちゃがいくつも出てきました。
まだ足を踏み入れていない部屋がたくさんありますが、ハイエースの荷台がいっぱいになったので、今日は一部屋だけの引っ越しで終了となりました。
関連記事:[美しいものが美しい]松本民芸館で遊ぶ!
誰も住んでいないと分かりそうなものですが、郵便受けにはチラシが詰め込まれていました。
さすが東京です。ボロアパートだというのに、UberEats(ウーバーイーツ)のチラシが入っていました。
さすがにもう自転車に乗ってアルバイトをしようとは思えませんが、このサービスはちょっと使ってみたかったです。
どうも今日の師匠はのんびりと(ダラダラと)しているなと思っていたのですが、帰りの高速に乗る前にも、たこ焼き屋さんに寄っていこうと言ってきたり、天然の魚は養殖物とは別物なんだと、小さな魚屋さんに入っていったりとしていました。
ポピュラーなものと、からしマヨネーズのたこ焼きを買って食べました。
我が家でもたこ焼きを作りますが、プロのたこ焼きはどこかクリーミーで美味しかったです。
この美味しさの秘訣はなんなのでしょうか…。僕もたこ焼きを極めたいです。
高速に乗って山梨に帰ってきた頃には大分遅く(21時くらい)なっていたのですが、それでも師匠はコンビニに寄りたがり、イートインのコーナーで、コーヒーを飲もうと言ってきました。
コンビニにしばらく居座っていましたが、最終的に僕から、「うちの猫たちが寒さで震えていると思うので、そろそろ帰らなくてはなりません…。」と言うまで、師匠は一度も帰る素振りをみせませんでした。
前々から気になっていたのですが、どうも師匠は、あまり家に帰りたがらないところがあるようです。
師匠の古道具やアンティークに対するセンスは素晴らしいと思うし、知識も半端ではないと思います。
午前中に寄った骨董市でもまるで有名人のような扱い受ける師匠は、間違いなく尊敬に値するのですが、しかしゴミ屋敷のようなアパートには正直ガッカリしたし、家に帰りたがらないようなところは、ちょっと困ることもあります。
何者かも分からない僕のような者にもお手伝いさせてくれるし、地元の人たちのようにずけずけと詮索もしてこないところは助かりますが、まあ、たまには何も言わず、遅くまで付き合ってあげるというのも、ささやかな恩返しの一環になるのかもしれません。
おまけ:骨董市で買ったもの
古い鉛筆
師匠いわく明治はありそうな小さな竹の行李(こおり)
板垣退助の100円札(※外国人のお客さんからのリクエスト)
僕の生まれる前に発行された「火の鳥」(売れるかどうかは不明。)
おしまい。