古道具屋を『天職』だと胸を張るために|入れ墨のお爺さん

[Diary:582]

フリーマーケットなどの出店予定が無いので、ここ最近はインターネットで細々と販売をするだけだったのですが、古道具屋みならいとしては市場に赴き、商品の仕入れくらいはした方が良いのではないかと思い立ちました。

ある日師匠にアポを取り、市場の入場料と虎の子を懐に忍ばせ、商品の仕入れへと出掛けました。

 

市場へ行く日の朝は早く、まだ朝焼けが残るほどでした。

僕が行く市場は入場料だけでも馬鹿にならないので、何も買えないようなことが続けばジリ貧です。

自分の好きなものを仕入れるだけで生活が回るようになるのが理想ですが、僕はまだまだ駆け出しなので、売れると思えばなんだって入札していかなくてはなりません。

他に競る人がいなければ開始価格で落札出来ることもあるのですが、一人でもライバルがいれば、思わぬ高値となってしまうことがあり得ます。

あまりに競り負けることが続くと違う市場を探したほうが良いのではないかと弱気になりますが、そもそも僕の欲しいものが集まる市場を探す事自体が難しいような気がします。

市場のおまけ:場外編

競りが終わった後、僕と師匠で、弁当の残りや持参したドッグフードを番犬たちに与えていたところ、顔見知りのお爺さんが、誰もいなくなった会場に残って何やら熱心にやっていました。

「何やってんですか?」

気さくで面白いお爺さんなのですが、指にはところどころ入れ墨が入っているので、案外昔はヤンチャだったのかもしれません。(※現役ではないとも言い切れない。)

 

お爺さんはいかにも古そうな屏風を、背表紙から丁寧に剥がしていました。

どうやら以前に、武田と徳川の和睦の書を、同じような屏風の裏紙の中から見つけ出したことがあるそうで、その時は大いに儲けたそうです。

この屏風は買い手が付かなかったもので、これから焼却処分になるのだそうですが、その前に裏紙をあらためておこうと思ったのだそうです。

 

『なるほどね…。』と思いながら屏風の前面に回り込んでみたところ、ふとあることに気が付きました。

屏風に貼られていた数枚の絵が、いかにも外国人にウケそうだと思ったのです。

これをうまく剥がすことが出来たら、もしかしたら売れるのではないだろうか…?

 

銘はありませんでしたが、師匠に見てもらったところ、江戸時代くらいの古さがあるかもしれないとのことでした。

お爺さんはこの絵に興味がないそうで、僕が譲って欲しいと言ったところ、快く了承してくれました。

下手をしたら、今日仕入れたどの商品よりも化ける可能性を秘めているような気がしましたが、しかし僕にも良くわからない絵なので、日本文化の好きな外国人に安く譲ってあげることになりそうです。

 

ジムニーの荷台に限界を感じています…。

大きい車があれば買いたい家具なども我慢せずに入札出来るので、頑張ってお金を貯めようと思っています。



翌日

仕入れてきた物を検めつつ、クリーニングや修理をします。

 

と、その前に。

極寒の中洗い物をするので、まずは火を熾してお湯を作ることにしました。

 

ぐつぐつ。

 

ある陶芸作家が放出した器の一部を仕入れたので、一つ一つ状態を確認しつつ、値札を剥がしたり、洗ったりしました。

1500円、2000円、3000円などの値札が付いていましたが、僕はフリーマーケットで100~300円くらいでしか売ることが出来ないと思います。

 

冬場の洗い物は辛いですが、、

 

食器を包んでいた古い新聞などを読むのは楽しいです。

 

売れそうにないものはフリーマーケットに来た子供にあげようと思いますが、、

 

箸にも棒にもかからないようなものは潔く処分します。

※電源が入らなかったり、ゴーシュートが出来なかったりします。

 

昔の「とらや」

 

紫色をしているので、一見アメジスト?かと思ったのですが、インターネットで調べたところ、全く違うように感じました。(何だこの石…。)

そこらへんに落ちている、ただの綺麗な小石なのかもしれません。

 

ボロボロの椅子ですが、FRP素材なので野外利用が出来そうだと思い、個人的に買いました。

 

最悪ダンボール代わりになると思い、こちらも個人的に買ってきた革製のトランクですが、荷物を入れて持ち上げた途端、取っ手がブチッと千切れてしまいました。

 

仕方がないので、せめてカッターで綺麗に取り除きました。

 

トランク内のパーツも全て外しました。

 

3つあった取っ手は、最終的に1つだけになってしまいました。

掃除をした後は、オイルをたっぷりと染み込ませたウエスで良く磨きました。

 

トランクがもう一つあるのですが、これは一見革製ですが、実はファイバー製でした。

とても軽くて扱いやすいので、案外こちらの方が重宝するのかもしれません。

 

 

総括

今回の仕入れは個人的に使うものも多かったので、入れ墨のお爺さんにもらった絵が売れなければ赤字かもしれません。

難しい商売ではありますが、自分のセンスを信じて売り買いするのは楽しいです。

※ギャンブル要素がありますが、(僕の中では、)どのギャンブルよりも格段に勝率は高いと思っています。

十分な収益を上げられるようになれば、それこそ『天職』だと胸を張ることが出来そうなので、頑張ろうと思います。

 

おしまい。



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