だれかの面倒くさいを肩代わり|明日からバイト

雨が降ると玄関扉が庇に引っかかって開かなくなるので、いい加減なんとかしようと思った。

発電機を持ってきて、ジグソーで庇を少しだけ削ろうと準備をしたのだけど、スターターロープを引っぱると明らかな異音がして、エンジンが掛からなかった。圧縮はあるので頑張ってロープを引っぱったけど、一向にエンジンは掛からない。何も作業は進んでいないのに、既に汗だくだった。

これから新しい小屋を建てようと思っているのに、発電機なしでもやれるだろうか?特に丸のことグラインダーが使えないのはキツいと思う。

もう一台小さな発電機を持っているのだけど、これも全くダメで、いよいよ追い詰められたかと途方に暮れてしまった。

 

使えないものをいつまでも置いておくのは嫌なので、ダメ元で分解して、原因が分からないようなら捨ててしまおうと思った。

プラグやエアクリーナー、キャブレターを点検した後、スターターロープを外し、その奥にあるオルタネーター(電気を作る部分)のカバーを外すと回転する磁石部分が出てくる。

見たって分からないと半ば諦めていたけど、この磁石部分に針金のような物がくっついて、ある部品を捻じ曲げるように挟まっていた。更に磁石部分には、挟まった針金によって大きな溝が掘られていた。

プーリーを回して挟まっていた針金を取り外し、曲がった部品をドライバーとハンマーで叩いてそれっぽく修正してみた。

分解した手順の逆を辿り、改めてスターターロープを引っぱると、異音が無くなっていた。

2回、3回とロープを引っぱると、エンジンが始動した。

熱い風呂に浸かったときみたいに全身が痺れ、涙が出そうになってしまった。助かったと思った。

しばらくエンジンを切る気にはなれず、その姿を黙って見つめてしまった。

 

しかし発電機はノーダメージとはいかず、多少出力する電力にバラつきが出てしまったけど、それでもジクソーを使って庇の修繕をすることが出来た。

これならまだ戦えると思った。

 

頭より高い庇を削ったので、全身は木くずで白っぽくなった。タイミング的にも今日は風呂に入る予定なので、大分時間は押してしまったけど、気持ちを切替え水を汲み、風呂を沸かすことにした。

発電機に手こずっている時は忘れていたけど、そういえば明日からアルバイトが始まるんだった。

そんなことをボーッと考えていたらあっという間に湯温は50℃に達していた。

新たに薪を焚べることはやめ、うちわでも扇ぐことをやめたというのに、この薪風呂の熱効率はちょっと凄くて、20Lタンクの水を全部入れても直ぐにまた耐えられないくらい湯温が上がってしまう。

結局40Lも追加で川の水を入れることになってしまった。

 

明日は何時に起きれば仕事に間に合うだろうか?

久しぶりに目覚まし時計をセットした。

お昼に一時帰宅するのは面倒だから何か昼ご飯を作って持っていくとしたら、その分早く起きなくてはならないし、そういえば仕事用の作業着ってどこに入れたっけ?

明らかに僕は僕自身のことよりも、他の人の仕事のことで頭の中が一杯になっている。

こんな状況になって改めて、自分の未来のことやどうしても諦めきれないこと、夢のこと、そんなことばかりを考えてしまう。

辛い仕事に忙殺されて、直ぐにでも逃げ出したくなっている時のような、例の駄目な思考に陥っていると思った。

明日からの仕事はもう4年目だから不安はないし、オーナー夫婦もいい人たちだし、自分でいうのも変だけど、仕事は問題なくできると思う。お客さんが入ってからでも、仕事用の僕はきっと上手くやるだろう。

だけど仕事用の僕は実際の僕とは大きく乖離しているから、この乖離の大きさが僕を疲れさせ、不安定にさせるような気がするのだ。

このままではいろいろなことを中途半端にしたまま、フェードアウトしていくかもしれない。

とりあえず余計なことは考えず、目の前の仕事を真摯にこなすことだけを考えるようにしようと思う。

 

 

【購入者:アメリカ人✕1 アメリカ人②✕2】

[就寝時間:5:00 (一時的に起床8:00-9:00) 起床時間:12:00]

(※コメントを開きました。)

 







“だれかの面倒くさいを肩代わり|明日からバイト” への2件の返信

  1. 私は5月に転職が決まっていまして、自分の選択ではありますが、今非常に憂鬱な気持ちで引き継ぎをしています。小屋暮らしに憧れてブログを拝見していますが、仕事を辞めることに踏ん切りが付かないまま3年が経ちました。雇われずに自営するといつも書いていらっしゃいますがその実現を楽しみにしています勇気を貰いたいです。その辺が他の小屋暮らしブロガーの人たちと違う所だと思って応援しています。

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