見ず知らずの他人に自分を見てもらいたい人たち

僕は蜂に詳しくないので恐らくですが、キイロスズメバチがバイト先の軒下に巣を作ってしまいました。その巣は殺虫剤を噴射され、長い棒で叩き落とされました。

殺虫剤を吹きかけたのも叩き落としたのも僕ではなく、オーナーの奥さんです。

一度蜂に刺されて怖くなっている僕はもとより、オーナーも小さな小窓から顔を覗かせるだけで、手出しをするつもりは毛頭ないといった感じでした。

いざとなれば女の人の方が度胸があるというのは本当かもしれません。

「神が女に力を授けなかったのは、女に叶う男がいなくなるからだ」

こんなことを言った人がいたような気がしますが、これも本当かもしれません。

 

居室に害虫が発生したとお客さんからクレーム?が入ることがあるのですが、初めの頃はオーナーの奥さんが殺虫剤を使って駆除をしていましたが、最近は僕もその仕事を言付かることが増えてきました。

殺虫剤を使いたいくないなどの駄々をこねても、「だったら掃除機で吸ってきなさい」と言われるので、僕は「分かりました」と返事をして、掃除機ではなく、ほうきとチリトリをもって居室に向かいます。

チリトリで集めた害虫を少し離れた林の中に放ち、そして居室から立ち去る際には、「もしまた害虫が発生したときにはこれをお使い下さい」といって、殺虫剤を居室に置いて戻ります。

頼まれた仕事の手順を守らないばかりか、殺虫剤を使うような嫌な仕事もお客さんに委ねてしまうのだから、僕は出来の悪いアルバイトです。

オーナー夫婦から、「テロルくんは何時頃に眠るの?」と聞かれたので、「3時くらいです」と答えました。

眠そうに働いていることが目に付いてしまったのかと思いましたが反応は真逆でした。

奥さんからは「偉い!」と言われ、オーナーからは「凄いね!」と言われました。

ちなみにオーナーは、忙しい時は一日に3時間くらいしか寝ないような人です。その為か、「寝ないで仕事をする=頑張っている」というような、歪んだ共通認識が僕らの間には出来上がっています。

本当に賢い人は、きっと要領良く仕事を回し、睡眠はたっぷり取っていそうなイメージがあるので、オーナーと馬鹿な見栄の張り合いをするのは良くないと思いました。

僕が4時間くらいしか眠らないと分かると、オーナーからは、「そんな夜中まで何をやってるの?」と質問されたので、ちょっと口ごもったのち、「読書です」と答えました。本当はYouTubeをみたり漫画を読んだりもしています。

 

 

今日のパートナーは、本業で映像カメラマンをやっているBちゃんでした。

ずっと一眼レフの話をしたり、その話を元にAmazonで価格を確認したりしていました。

話のはずみから、今冬にはBちゃんが僕を撮ってくれるという話になりました。

話している時は僕も浮かれてその気になっていたのですが、今は少し落ち着いてしまいました。

テンションを維持させるには、自分を客観視したり、面倒なことや失敗した時のことなどを考えてはいけないのだと思いました。

Bちゃんと話をした後は物欲が再燃します。

Bちゃんが帰った後の午後、オーナーに動画撮影機能のある一眼レフやアクションカメラが欲しいと話すと、その両方を持ってきて言いました。

「一眼レフは重たいから持ち歩くのが面倒で使ってないし、アクションカメラはまだ一度も使ってないんだよ」

僅かでも僕に使わせてやろうという気持ちがあるのだろうかと、少し期待してしまいましたが、散々機能や拡張パーツの自慢をした後、大事そうに部屋に持ち帰ってしまいました。

今のは一体何の時間だったんだろう…?

おしまい。







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