2mくらいの鉄の棒を買ってきて、グラインダーで15cmくらいにカットしていると、ハルゼミが飛んできて僕の肩にとまりました。
鉄を切っているので火花が散っていて危ないし、昆虫が服にとまれば単純に嫌なので、「ふぅー」と息を吹きかけ追い払いました。
そして火花を散らせながら鉄の棒のカットを再開したのですが、またハルゼミが僕に向かって飛んで来て、今度は背中にとまりました。
昆虫というものは、少し距離を置いて眺めるくらいが丁度良いと思っているので、接触されてしまうと少し不快です。
「うわっ」と情けない声を発し、慌てて着ていたシャツをバタバタと払ってハルゼミを追い払いました。
何故ハルゼミが僕に飛びついてくるのか分からず、しばらく身構えていましたが、ハルゼミが飛んでくる気配はありませんでした。
少し前にハルゼミの羽化を助けたことがあったので、その時の者が挨拶に来たのだろうかと昔話みたいなことを想像してしまいましたが、そんなことはあるはずもなく、結局何だったのだろうかと不思議に思いながらもまた作業に戻りました。
鉄の棒を固定して、グラインダーの刃を慎重に下ろしていきます。
グラインダーの刃が鉄の棒に触れると同時に、耳が痛くなるくらいの轟音と火花が散ります。
するとセットのように、再々度ハルゼミが僕にめがけて飛んで来ました。
今度はハルゼミが僕に向かってくる姿を目視出来たので、直ぐにグラインダーの電源スイッチをOFFにしてその場を離れました。
3回も繰り返せば僕にも答えが分かります。
どうやらハルゼミはグラインダーが鉄を切る時の轟音を、求愛の鳴き声と間違えたのです。
確かにグラインダーの鉄を切る音は蝉の鳴き声と似ているなと合点がいきましたが、しかしその音の大きさは蝉の鳴き声の比ではありません。
ハルゼミは名前の通り、4月から6月にかけて発生します。
今日はもう7月なので、僕に向かって飛んできたハルゼミは少しだけ出遅れてしまったと思っていたのかもしれません。
多くの雄が死に絶えてしまい、焦っていたところにとんでもない大音量で求愛する雄が目の前に現れたのですから、これは大チャンスだと思ったのかもしれません。
ハルゼミは松林に生息し、その林からあまり出ることがないようです。
つまり、またグラインダー作業をしたら同じハルゼミが飛んでくるのかもしれません。
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今日も猫グッズの制作をしたり、その作業中に必要なものが出てきて買いに行ったりしていました。
頭で描いた制作過程のようには進めることが出来ず、お金を稼ぐ難しさを再確認しました。
また、夏のアルバイト先から、お風呂を入れたから入りに来ないかとメールが届いていたのですが、今日はインターネットに繋ぐのが夕食後だったので、残念ながらチャンスを逸してしまいました。
とても辛いです。