10.人間カイロ

郵便局員さんも言っていたけど、今年は風の強い日が多いと思う。

昼間はまだいいけど、夜を徹して強風が吹き荒れると眠れなくなる。

「もう勘弁しておくれ…。」

誠心誠意、心から願ってみても自然は無慈悲なものだし、そもそも森羅万象に神が宿ると考える日本人にとって、そう容易く願いを聞き入れる自然では困る。

限りなく優しいだけの神様がいてもいいとは思うけど、人間の統制を行ったり、節度のある生活を送らせるには厳しさが欠かせないのかもしれない。

畏怖の念ってやつだろうか?

「いやー、昨日の強風には畏怖っちゃったよね!」

僕としてはこれくらいの距離感で接したいと思うけど、やはり荒ぶっている時の自然は徹底して人間を寄せ付けない。

Netflixを解約して暇になったことだし、少しは早寝をしようと布団に入ったけど、2時間は強風に怯えて眠れず、ウトウトとしても強風の迫りくる重低音を腹で感じると身体はこわばり、眠気は飛んでしまう。

こんなことを繰り返していると、身体は熱を持ち出す。

額には脂汗が滲んでいる。暑くて堪らず毛布を蹴飛ばしたけど、それはそれで寒くて堪らず、しかし身体の芯は火照り、全身は汗でしっとりとしている。

僕はこの状況のことをよく知っていた。

数年前までの、僕がサラリーマンだったときもそうだったけど、子供の頃からこんな夜を何百回、若しかしたら何千回と繰り返して来たからだ。

布団に入って寝ようとするけど、明日になるのが怖い人にとっては電気を落としてからが大変なのだ。

どこか懐かしさのあった夜は明け、図書館へ行く予定の日が始まった。

嵐の後は道路が枝まみれで汚い。

図書館へ行って数時間もブログを書いていればパソコンは満充電になる。

電気の乏しい小屋に戻っても好きなことが数時間は延長してやれる。

図書館でブログを書いて、小屋に戻ったらパソコンで映画を観たり、誰かのブログを読んだりと、自分の好きなことをするというこのルーティーンは意外にうまく回っていると思う。

小屋に電気を引くことは、お金さえ用意できれば簡単だけど、図書館へ行く習慣がなくなったら僕はブログを書くのだろうか?

実はこの辺りのことを心配しているのかもしれない。

・図書館で買った飲み物(贅沢ヨーグリーナ):130円

・LED照明点灯時間:6時間30分




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA